20年後に貴重なクルマ
「言ってましたよー、蓼科とか八ヶ岳みたいな高原に家立ててガレージ作って好きな車で峠三昧の日々を送ってやるって(笑)」
「ああ、言ってたかもしれないなー。ついでにカフェでもやるかってのも言ってたっけ(笑)」
「そうですよ。」
「でも、あの頃はバイク一筋だったからさ、バイクのつもりだったと思うよ」
「そんなことないですよ、クルマ乗るならポルシェだなーで屋根の無い奴だなーって言ってましたよ」
「そうだっけ・・・(ーー;)」
「だから俺いつか先輩買ったら乗せてくださいよーって言ってたじゃないですかぁ!」
「いいよ、いつでも来いよ、屋根のあるポルシェだけど(笑)」
「いやいや、屋根なしと屋根アリ2台も持つなんて素敵ですよ。しかも屋根なしだってあのデザインの面白いTTだし、大事にしてくださいよ。きっと20年後に貴重なクルマになってますから」
「やっぱオマエもそう思う?」
「思いますよ。自分はAudiなんて好きじゃないけど、あれだけは別格で惹かれてましたからねー」
「オマエにそういってもらえると凄く嬉しいよ。」
「ま、半分はお世辞ですからー(笑)」
何分ぐらい話たのだろうか、遠くでベルのなる音が聞こえてきた。
「あれ?オマエのところでなんかなってないか?」
「いや、うちじゃないっすよ、先輩ところじゃないですか?目覚ましみたいな音ですけど」
「あ、そうだ目覚ましだ・・」
私はそこで目が覚めた。あれは朝を告げるうちの目覚ましの音だった。後輩からのメールも電話もすべて夢の話だった。彼から電話やメールが、来るはずは無いのだから。
大 好きでいつも一緒に走って、犬みたいに自分の後ろについてきた奴。私が音楽屋稼業をやっていたころ、運転手として楽器車を運転してくれた相棒。自分が会社 を興して失敗したときも、手伝ってくれてた信頼すべき友人。でも、去年の春に突然この世を去った。そんな奴がお盆を間近にして気を聞かせて電話をくれたの かもしれない、夢の形を借りて。
こんな贅沢なクルマを2台も手にしながら、欲深くさらにそのクルマを買い換えようなどと不埒な考えをめぐらす私を諌めに。しかし、なんで奴は自らの手で先に逝ってしまったのだろう。返す返すも残念で仕方ないし、そこまで彼を追い詰めた某企業の体質を思い返すと砂を噛む気持ちになる。
せめて、もう一度だけでいいから、うちの周りの峠道を奴と走りたかった・・・。
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コメント
NANさん>
遅レスですいません。週末でかけていて月曜日は風邪引きで寝込んでて遅くなりました。20年たつと私自身が還暦すぎの旧車ですからね、ガソリンの行方も含め持ち続けるのは難しいかも知れません。なので、せめて10年は取って置ければと思ってます。
投稿: ta_tsu | 2006年8月 9日 (水曜日) 01:34
ご無沙汰しています。
BLOG読んで鳥肌が立ちました。20年後に貴重なクルマ私もそんな車に出会う事考えながら日々生活しています。
そして、20年後も貴重な友人を大切にしたいです。 今年の夏は学生時代の友人と家族同士でキャンプに行ってきます。
投稿: NAN | 2006年8月 7日 (月曜日) 15:55