【クルマ】BMW135iに乗る。

以前東京のBMWショールームで出会って以来乗りたかった135iに、ついに念願かなって試乗できた。しかも市街地をグルグルではなく、ハイウェイでの高速試乗ができた。

シートにすわってポジションを決めるときに、ちょっと戸惑ったのがABCペダルレイアウト。右ハンドルのMTにありがちな、ミッションのドームが飛び出すことでペダルが右にオフセットしている。またクラッチ自体も結構奥深くまで踏み切れるのに、上のほうにつながる感覚があり、ポジションを決めるときにペダル関連優先という感じになった。

乗り込む前は小さなキャノピーの印象から車室内が狭いのではないかと感じていたのだけれど、実際は3シリーズと変わらぬ印象だ。助手席との距離感もちょうどいい。走り出してみると左右のコンパクトさよりも前後長の短さが非常に特徴的で、小気味いい。交差点をくるっと小さく回れる気持ちよさだ。

ディーラーを出て高速に乗るまでの一般道を走っての第一印象は乗り心地のよさ。以前130のMsportsに同乗したことがあるのだけれど、そのときはかなり固めでゴツゴツとした突き上げの強い足回りだった。しかし、今回は非常に当たりが柔らかい。助手席に乗る営業スタッフいわく「130のハードな感じは135でしないのはランフラットが良くなったからです」とのこと。確かに見てのとおり18インチの35扁平を履いているとは思えないぐらいに突き上げのあたりが柔らかい。

雨でノロノロと渋滞気味に走る一般道では、1速→3速→5速というずぼら運転に徹してみたけれど、低速トルクが十分にあるおかげで、このワイドレンジのシフトアップにもノッキングすることなくフレキシブルな印象でエンジンは回る。

ディーラーを出て10分ほど下道を走ったあとは、最近開通したばかりの高速道路にはいり離陸。3速→4速→5速とシフトアップしていくのだけれど、5速がちょっとはなれ気味なのがきになった。3速→4速のつもりで5速に入れるとちょっと失速気味になる。

335iで経験ずみのエンジンだけれども、滑らかに吹けあがるBMWの6気筒の作法をちゃんと持っている。6速までシフトアップすると必然的にワープ状態に入ったけれど、ロードフォールディングは高く、ウエットであることの不安を感じさせないで光速巡航ができた。光速でのレーンチェンジも行儀よく無駄なく最低限の距離でスムーズに車線を移れた。

Z4Mなどに乗る6気筒NAに比べると5000回転からの吹けあがりが、ちょっともっさりしてる印象は否めない。NAならばギュイーンとタコメーターの動きが加速するのだけれど、このエンジンは、それまでと変わらぬペースで回転数が上がっていく。このキャラクタのほうが扱いやすいのは確かだけれど、好みがわかれるところじゃないかと思う。それでも7000回転のレッドゾーン近くまで行き詰まりかん無く回っていくあたりはターボエンジンではかなり優秀だし速度計もタコメーター同様に終端に向かってよどみなくあがってワープできるのだから。

ブレーキは見ての通りの良さ。走り出しはちょっと初期制動が強めで扱いづらいかなとおもったのだけれど、ローターが温まってきたら当たりが少し柔らかくなって、いいフィーリングになった。踏みしろと聞き具合のバランスもよく渋滞路でもギクシャクするようなことはないし、ググと踏み込めば光速からあっという間に40kmぐらいまで減速した。

コーナリングもFRの作法がきっちり出ていて気持ちいい。雨の高速ランプのかなりRのきついターンでも、基本的に弱アンダーをきれいに維持する。鼻を入れパーシャルスロットルで旋回したあと出口が見えてフルスロットルをかけても、リアがブレイクする気配もアウトに膨らむ気配も見せずに綺麗に回り込みながらオンザレールで立ち上がった。

今回の試乗で感じたのは、ちょうど良いボディサイズと足回りの硬さだということ。このサイズなら街乗りでもワインディングでも高速でも快適。

欲を言えば、エンジンがもっとクイックだったらなもっと楽しかったかもしれない。

前述の5000回転からのふけ上がりの上品さや、電子スロットルのカーブやレスポンスをスムーズよりにしてあるからか306PSのインパクトが感じられなかった。正直走った印象は、うちの2号機のA3SB3.2と加速感と速度感に近い。ひょっとするとファイナルが若干ハイギアードなのかもしれない。いずれにしろ欲をかけばという部分であり、普段の足車としては十分に速くて楽しいクルマだと思う。