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2008年4月20日 (日曜日)

【クルマ】R8に乗る。

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某日某所にて同志Pの計らいでR8セッションを実施。

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特徴的なサイドのカーボンの胴巻きはこのクルマのシルエットアイコンになっていて、どこから見てもR8だということを対向車や並走車に知らしめてくれる。

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リアビューも同様にこの大きなテールフィンとその上に載る矩形のテールランプで、このクルマが何者であるかは一目瞭然だろう。

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左H+R-tronicのシートに滑り込むと十分に低い。シートから路面には簡単に手が付く。しかしメーターナセルの位置関係が低いから前方視界は十分に開けていて、着座位置の低さに実感が持てない不思議な感覚。ガヤルドも前方視界は広かったけれど自分の目線の低さは十分意識させられた。


低さを実感するのはバックミラーからテールゲートのバックウインドウ越しに後続車のライトを見たときだけ。ちなみにバックミラーはカーショップで 買って取り付けたのかと勘違いするようなワイドビューの凸面鏡がついていた。ドアミラーをあわせ着座位置を決めて、R-tronicがニュートラルである ことを確認する。

R-tronicはS-tronicとは違いATを意識させないためにPポジションはない。NとRと AモードとMモードのみ。そのためかエンジンをかけるときにはNに入れるのだけれど、条件反射でMT車のようにクラッチを切ろうとして左足がフットレストをけってしまう(笑)

このクラスのクルマだからスターターボタンが付いていると思っていたが、古式どおりのイグニッションキーのターンで短いクランキングのあとRS4よ りも野太いエクゾーストが一声。しかしアイドリングは、RS4やS4でおなじみのV8らしいドロドロとしたものではなく、もうすこし上品なドゥルドゥル ドゥルドゥルという音。このあたりはエクゾーストの等長化やインテークの見直しが大きいのだろう。

アイドリングもそこそこに私たちは、雨空の下に飛び出した。

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パーキングから動きだしてすぐに感じるのは操作性の重さ。

最近のAudi車はともすれば軽薄といっていいほどにABCやステアリングを軽くする傾向があるのだけれど、これは違った。アクセルも思いしステアリングも重い。400PSを超えるパワーを扱うということを意識させてくれる重さで、自分には違和感がなかった。

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路面の状況はヘビーウェット。電子制御の最新のビスカス4WDシステムを使ったクワトロにとって得意な領域といっていい。シフトダウンしてフルスロットルをくれてもESPが効いたようなそぶりも見せず路面をしっかりとつかんでグイグイとクルマは前に押し出されていく。

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FRやFFなら思いっきり踏めないような高速コーナーでも躊躇無く踏めるスタビリティを見せる。ブレーキは通常のスチールのブレーキだったけれどバランスもフィーリングも車格相応。当たりと性動力のバランスをつかむのに少々時間がかかるガヤルドより好感がもてた。

試走した車体にはマグネティックライドがついていたので、スポーツモードとノーマルモードを試してみたがノーマルモードで十分。以下の動画をみてもらえればわかるが、スポーツモードは路面の継ぎ目でひょこひょこと上下に持ち上がる動きが出ており、路面の継ぎ目に生じているひどいギャップでは滑りやすいヘビーウエットの路面から足が浮くような挙動が感じられた。

もちろん、FSWとかにもちこんで鏡のような路面をトレースするようなシチュエーションになればスポーツモードは楽しいだろうし、タイムを削りこんでいけるに違いない。

R-tronicのシフトフィーリングはツーペダルMTの標準的なもので、アクセルをベダ踏みの変速ではギクシャク感は否めない。パドル操作にあわせてクラッチを切るリズムでアクセルを戻して上げる必要がある。Sモードにしてもこれは同じ。シフトダウンが気持ちよく決まるだけにシフトアップももう少し賢くやって欲しいと思う。

ちなみに自分の少ない経験で思い返すと、2ペダルMTのフィーリングはヴァンテージ(07モデル)が今のところ一番だろう。

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エンジンはトルクフルで、どの回転数でも踏めば躊躇無く前に押し出してくれ、上までストレス無く回るのだけれども、アドレナリンやドーパミンがでるような高揚感が無いのがアウディらしい。

今回、R8という今のアウディを象徴するスポーツカーに乗ってみて、TT2ndをはじめとしてB7以降のSシリーズやRS4が自分にとってスポーツカーとしての魅力を感じない理由がようやく見つかった。

それは、これらのエンジンが「チューンドエンジン」ではなく「レギュラーエンジン」のキャラクタだということ。以前RS4の試乗のときに旧RS4のスパルタンさが良かったと書いたのも思い返せば、このチューンドエンジンとレギュラーエンジンの違いだったと思う。よく回って馬力さえ出ればスポーツカーエンジンではなく、スロットルレスポンスを含めそのエンジンがどういう使われ方を要求するのか明確なのが、私が欲しいスポーツカーたる「チューンドエンジン」なんだと思う。

シャシーもエンジンとあいまって、ドライバーにスペックやパワーではない何かを感じさせる魅力が欲しい。それは従順な召使のようなクルマではなく、乗り手にそのクルマにあった走り方の提案をし、ドライバーがそのクルマでスキルアップできるパートナーでなくては自分には面白くない。

手前みそだけれども、前述のとおり1stTTには明確にそういう提案がクルマにあった。あのエンジンは、それまでの1.8Tを当時のS3を越えるチューニングを施して登場したものであり、S3の上を行くRS3的存在だったと いってもいいだろう。、だから2年後にS3がTTクワトロに追いつくまではAudi/VWで最強の1.8Tであり、チューンドエンジンの持つアグレッシブ な魅力を感じていた。あわせてエンジンだけでなくハルデックスを使ったFFベースのクワトロの新しい方向性が見えた。

Z8もワインディングにもちこむと、BMWが考えるFRスポーツとしての明確な提案が感じられて、クルマがこういう動きはどう?こういう回り方をしてみませんか?ってドライバーに呼びかけてくる。フレイザーにいたっては、もっとプリミティブな作り手からのメッセージとして、こういう走り方ができる?って問いかけがくる。そういうやる気にさせるキャラクタが、運転を楽しむ気持ちよさにつながっているんだとおもう。

試乗は雨の中30分ちょっと。速度域は低速~亜光速までで、残念ながらワープドライブには持ち込めなかったが常用域はすべて味わえた。前述のエンジンのキャラクタを踏まえR8のインプレッションをまとめるならば

「美人でやさしくて何でも言うことを聞いてくれるけれど、恋愛対象としてのフェロモンをまったく感じない女性」。

試乗を終えたあとの帰路、同じV8でありながらR8とは対極のスリリングなキャラのZ8で、豪雨のハイウェイを200kmひた走る帰り道が楽しかった。

まことに残念だけれども、どうも私は甘やかされるのは好きじゃないらしい・・・。

馬鹿な男だ(苦笑)

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コメント

難しいですねぇ。Audiは4駆にquattro【イタリア語】とつけたりワゴンにAvant【仏語】とつけたりして、そもそもドイツ車の中でラテン色を強く打ち出してましたよねぇ。

初代RS2やRS4もエモーショナルな車だったし。ピエヒが抜けてからなんだかマグロ車になってきちゃったかと。

>クールで感情を出さないカッコよさを楽しめる

ドライバーがクールであればいいんじゃないかと。車がクールだとドライバーは熱くなりそう(笑)

投稿: ta_tsu | 2008年4月22日 (火曜日) 16:03

 元々アウディの目指している車作りは、そういうクールな車なんじゃないかなぁ?ルマンに参戦するようになって、技術的にも更にアウディの理想に近づけたんじゃないかと。

 ピーキーなエンジンをなだめすかして運転して『乗りこなせた』という満足感を与えたり、勇ましい音を奏でて時速40キロでも速く走ってるような幻想を抱かせたり、なんて無駄な味付けもスポーツカーでは美点になるわけで・・・。じゃなきゃイタリアに名車なんて産まれてないかも(笑)

 どんな環境でも常にクールで感情を出さないカッコよさを楽しめる『大人』向けの車なんですよね。もっと熱くて楽しいオモチャで遊びたい『子供』な我々には向かないですね・・・。

投稿: ICHIO | 2008年4月22日 (火曜日) 15:20

ICHIOさん>
ルマンに参戦するようになってから、車がつまらなくなったのは偶然の一致でしょうか?

思うに、どっかでレーシングカー=スポーツカーという誤解をAudiのエンジニアはしているんじゃないかと。

レーシングカーは乗って楽しいことより0.1秒でも速く加速できてどんなシチュエーションでも操縦性が変わらなくてってことがベストですけど、スポーツカーはタイムを削るために乗るものじゃないから。

そんな気もしている今日この頃です。

投稿: ta_tsu | 2008年4月21日 (月曜日) 16:48

たぶん同じ感覚なんでしょう。
エンジン性能表を見て、トルクカーブがフラットだと、何となく試乗する気さえ無くしてしまう性格ですから(笑)

血が騒ぐような車をアウディに求めてはいけないんですよね。それは分かっているんですが、あのデザインを見せられて最大出力を聞かされたら、期待しちゃいますよね。

完璧なプロポーションのマグロ美人か(失礼)。エンジンルームの上に荷台が乗ったステーションワゴンが出たら検討します(爆)

投稿: ICHIO | 2008年4月21日 (月曜日) 15:33

今回のセッションは、本当に有意義でした。ここ何年かムズムズしていた原因がはっきり自分でわかったし。

1stTTの魅力から離れられないオーナーはきっと自分と近い何かを感じているんじゃないかと思います。ポルシェも997以降レギュラーカーになってスポーツカーはGT3などの空冷クランクケースモデルって立ち位置になっているように感じてます。誰が乗っても速いクルマですから。

デートの件は、もちろん超OKで、若いころ同様noripoiでいきます(自爆)

投稿: ta_tsu | 2008年4月21日 (月曜日) 01:17

お疲れさまでした。。

素晴らしいimpressionレポ・・・
返却の際、某所に提出したくなりましたが(笑)。(^^;)

onewayでは無く、twowayなクルマとのコミュニケーション。
テクノロジーの単純な進化と共に退化していく複雑なモノの切なさを・・・
読んでいて少し感じました。

ちなみに自分は・・・・
フェロモンを感じない女性でも、向こうから言い寄られれば何回でもデート出来ます(自爆)。

また一緒にデートしましょう(笑)。


投稿: pookey | 2008年4月21日 (月曜日) 00:56

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