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2008年10月10日 (金曜日)

【クルマ】RS6に乗り、しばし感嘆す。

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某日、ディーラーに新2号機の登録関連書類を持参したときに、RS6の試乗の機会を得た。見てのとおり、雑誌などにも登場したこのあるミサノレッドのRS6は、シルバーのアルミパーツとブラックのホイールとのバランスもよく、思いのほかカジュアルでフェミニンな印象。

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張り出したブリスターフェンダーもマッシブというよりグラマスに感じるほど。以前、箱根のAMMAで見たときの印象とはだいぶ違って見えた。

コンソール周りでの造作は以前乗ったS6とほとんど同じで、違いはRSならではのD型ステアリングとブラックアウトされたメーターまわりぐらいか。

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すわってみてびっくりしたのが、このシート。過去乗ったAudi車でもっともいいシートだと感じた。なんとも絶妙な硬さのバランスから得られる適度のホールド感がなんとも心地よい。肩のサポートはかなり緩めだけれど、腰と太ももは自然でよかった。

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リアシートもいい。足元は180cmの長身でも前席を前に出す必要がないほどの余裕があるし、背もたれ部分の傾き加減と座面の肩さ、ほんのわずかに張り出した腰の部分が、このクルマのハイスピードクルージングを快適にサポートする。

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キーを挿してスターターボタンを押すとうるさくは無いけれど野太い低音の効いたエクゾーストが響く。軽くスロットルをブリッピングするとターボとは思えない軽い吹けあがりだ。

ディーラーから、休日で混みあう国道に出て走り出して驚いたのは、その動きの軽さ。大げさな言い方だけれども、あのASFのS8よりも軽く感じてしまった。これは間違いなく進化したDRCの恩恵と滑らかでトルク感あふれるパワーユニットのおかげだろう。

アクセルペダルの重さも適度であり、580PSをやわらかく引き出すことが可能。エンジンの振る舞いも同乗者がNAだと誤解するほどにスムーズでリニアなトルク感でツインターボという印象は皆無だった。また街中を流すときのエクゾーストは、やかましくない上質な音だけれど、ちゃんと車室内にもそのパワーの片鱗を感じさせる音を聞かせてくれる。

D型のステアリングは同型のステアリングを持つRS4やTTみたいに軽すぎて頼りなげなステアリングフィールとは違い、S5同様のタイヤの質量を感じる節度ある感触。これにマンホールや段差の突き上げをやわらかく受け止めるしなやかな足回りがあいまって、S8にかなり近い上質な乗り味に感じた。

そしてもっとも感嘆したのがAT。

DSGも顔負けのスムーズ&ダイレクト。スリップしてる印象をほとんど受けない。パドル操作によるシフトダウンも切れ味よくブリッ ピングして瞬時にシフトダウン。感覚的なずれはほとんど感じない。RSはMTじゃなきゃといわれる向きも多いだろうが、この馬力で、この車重でMTとなる と速く走るためのシフトワークとクラッチワークは、かなりシビアになるだろうから、私はこのATで必要十分だと思う。

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いつもの高速道路に持ち込んで、ETCゲートからの全開加速をしてみる。0→100kmは4.6秒と500PSオーバーのマシンではむしろ凡庸な数値だけれども、体感的にはかなり速い。フラットトルクなエンジンと前述のノンスリップなATがあいまって、あたかも18000回転まで一気にまわるフラットトルクのエンジンのような途切れの無い加速感で、新幹線のような加速を生み出す。このときのエクゾーストからは、V10らしい緻密感のある音が吐き出されるが、S6やS8の吹き抜けるピッチの高い音色よりは低いのはターボだからだろう。とはいえ、このクルマがNAでなくターボ車だと分からせてくれるのが、ATがシフトアップしたときにマフラーから聞こえる短いボンっという加給圧をサージする音のみだが。

全開加速の間にETCゲートは飛ぶように小さくなり、はるか前方に見えていたバスが、まるで距離を一気にジャンプしたみたいに一瞬で目前に迫る。そう、RS6はETCゲートでてからわずか7秒程度でワープレンジに達してしまうのだ。

目前に迫るパスに対して、ブレーキを軽く踏み込むとDRCの特性であるノーズダイブなしのフラットな姿勢のまま上から押し込まれるように減速。R8やS8のセラミックブレーキの硬質なタッチとは違う独特なG感覚だが、十分なストッピングパワーだ。

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追い越し車線と走行車線を出入りしながら走ったが、大人4人を乗せたミドルサイズのワゴンにもかかわらずダルな動きは微塵も感じさせず、かつ、スポーツモデルを誇張するような固いあたりも無いままに、まるでヘリが滑空するごとく高速の一区間は数分で終わった。あまりに短かったからか、320kmまで刻まれたメーターの3/4以上をまわしきった錯覚すらおぼえてしまう。

料金所を出た後、Uターンする導入路で、このクルマの売りであるFR的な駆動配分を確かめるべく強めのブレーキングで前輪荷重を十分にかけてステアリングを切り込み、V字のコーナリングラインをとってみる。

長いホイールベースにもかかわらず、スムーズにテールがアウトに振り出してくれ、ESPのランプがチカチカ点滅しつつも、やんわり介入するだけでテールアウトを許容してくれた。そのままスロットルをワイドオープンにしてやれば、直線的なトラクションが地面を蹴りだしステアリングは直進状態にもどしつつカレラ4ににたトラクション感で無駄な挙動なしにコーナーを脱出。いやはや小さなコーナーでも十分に速い。

この調子なら、碓氷峠のようなタイトなワインディングでも、コントロールしやすい足回りとクワトロならではのトラクションをいかしたスローインファストアウトで結構気持ちよく走れるにちがいない。

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30分ほどの試乗を終えておもったのは、今まで自分が乗ったS&RSシリーズで一番いい車だったということ。この前乗ったS5でも感じたけれど、アウディのS&RSのドライバビリティは今モデルからかなり良くなってきており、100馬力以上の馬力差と価格差もあるけれど前RS6とはその動きもエンジンフィールも雲泥の差があると感じた。ステアリングフィールや、ブレーキバランス、アクセルレスポンス、ATフィールのすべてにわたって感じられて、そのすべてのバランスが最善。

本来、この手のクルマにあまりポジティブにならない自分をもってしても、好意的にならざるえないほどの完成度の高さであり、今のAudiで一番いい車であることは間違いない。なので、もしTOTO BIGがあたったとしたら足車として買うかもしれないし、買うなら間違いなくこの赤を買うだろうね。

このような素敵な機会を与えていただいたディーラーに多謝。

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コメント

今まで白、銀、青は見たことあるのですが、赤はまだお目にかかっていません(あのクラスのミサーノレッドは迫力ありそうです)

>意図的に作られた感がするほどにいい車ですよね

各方面で絶賛されていたようなRS4と比べて、同じRSなのに評価が不当に低いと何か勘ぐってしまいます(元々ミドルクラス以上のクルマの運動性を評価する記事そのものが少ない気がしますが)

投稿: quattomo | 2008年10月21日 (火曜日) 02:01

quattomoさんもこの赤に試乗されたのかな?
でも、本当に媒体の書いてある大味で直線番長みたいなレポートが意図的に作られた感がするほどにいい車ですよね。確かにサーキットである程度以上のスキルの人が走ればR8が早いだろうしMTのほうが面白いって話になると思いますし、S8より良い走りとはなかなかかけないだろうし(笑)

難しいところでしょうね。

投稿: ta_tsu | 2008年10月20日 (月曜日) 13:20

ボクも今日試乗してきました。
ta_tsu さんと同じく、まさに感嘆といったところです。
試乗した後でこのインプレ読むと、うなずける所がほとんどでした(乗る前はさらっと流し読んだだけだったので(失礼))
メディアなどでは直線番長的な扱いを受けているRS6ですが、自分で乗ってみないと分からないものだと再認識です。

投稿: quattomo | 2008年10月20日 (月曜日) 01:54

R35GTRはまだ乗る機会がないので、分からないですけどRS6はスポーツカーではなくてスポーツサルーンなんで、基本は乗り心地はラグジュアリーでした(笑)。

でも、身のこなしはダルじゃないのが凄いところです。でも高すぎですよね。1200万ぐらいが妥当だと感じましたね。

投稿: ta_tsu | 2008年10月15日 (水曜日) 18:09

先日、R35_GT-Rで1300kmをドライブしましたが、
足回りが純正でもかなり硬いので、だんだん体に疲労が蓄積してしまいました。
RS6の足回りの評価を読ませていただくと、長距離にはRS6の方が向いてそうですね。
でも、RS6は値段が…^^;

投稿: クア太郎 | 2008年10月15日 (水曜日) 15:58

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