【クルマ】A4Cに見る、かつてのAudiデザインの魅力(内装編)
少々間が空いたけれどA4Cデザイン内装編。
A4Cは、それまでのB6A4とは外装の細かな部分が違うことは前回説明したけれど、内装はさらに大きく異なっている。なぜ異なっているのかは、いくつかの説があり、ひとつはA4よりプレミアム度を増すためにA8に近いトーン&マナーを実装させたという説。
もうひとつは、屋根を明けて露出する内装だから見られることを意識すると同時に、メーターナセルを深くして明るい露天でも読み取れるようにしたり、屋根を空けて走ることを前提にしたベンチレーションを施すために吹き出し口の数と形状を変えたという説。
そして、03年発売というタイミングも含めB6A4のフェイスリフト版のさきがけとしてリリースされたという説。
しかしこのクルマを発売直後に、B6A4のフェイスリフトはデザインディレクターの交代とともに大きく見直されて、フェイスリフトというレベルではなくビッグマイナーといわれるB7A4へシフトされてしまったため、このデザインはカブリオレだけで終わり、セダンやアヴァントはお蔵入りしたという説。
どれも納得できる説なのだけれど、私はエクステリアのディティールやシルエットがB6から色々変更を受けていることを踏まえ、最後のフェイスリフト版が一番穏当な説だと感じている。
このメーター周りを見て感じるのは、ステアリングセンターのAudiマークを中心とした円をモチーフとしたデザイン。コレはTTでもおなじみだしその後のA3にも引き継がれているもの。じつは、このインパネを最初に見たときに、自分はA8に似ていると思った。
下がMY2004のA8のメーターパネル。
見比べてみればわかるとおり、基本的なデザインはほぼ同一といってもいいほど告示していることがわかる。つまり、この時点でのTop of AudiであったA8のデザインをダウンサイズしたものが、03年時点でのA4フェイスリフトのデザインだったのかもしれない。
結局このデザインのインテリアはA4C以外では使われることなく、次のビッグマイナーで登場したB7はなんの変更もうけずにB6のままだった。他のAudiのモデルとこのA4Cのおきな違いは、センターコンソールとダッシュボードのつながりにある。
見ての通りA4Cは、ダッシュボードの上部パネルとセンターコンソールが一体になったデザインだが、他のAudiモデルはダッシセンターコンソールは分割している。
上がA8で、下がB7A4。見ての通りセンターコンソールは独立したパーツになっている。しかし、A3はダッシュボード上面パネルとセンターコンソールがつながっている。
下の初代TTのデザインの派生系のためだろう。ただしTTでは、センターコンソールは、ダッシュボードの下側とカラーをそろえてあり、上面とは明確に切り分けられているのが解る。余談だけれども、TTのデザインがいかに秀逸だった感じさせるひとつが、ダッシュボードの上面が凹面にえぐられていること。A3と見比べればその違いがよくわかる。
しかもセンターのベンチレーターのナセルに連続するようにダッシュボード上面の格子状の円柱が配置されていて、凹面にえぐられた分だけ露出させて、あたかも2本のパイプがナセルに直結していると思わせるデザインは他に類を見ないし、各スイッチのデザインや位置関係、ベンチレーションのスイッチの意匠までもが、ここでしかないという場所にきちんと配置されて絶妙なデザインバランスを作り出しているから、おかしな場所についてると感じさせるものはない。
これが現行B8のコンソール。ダッシュボードとセンターコンソールは不恰好で、センタートンネルとのつながり感がほとんど感じられない。なかでもハザードスイッチの位置がかなり酷い。とりあえずあとから入れ忘れたことに気づいて、ここしか隙間がないからとりあえず、ここで~って決めたとしか思えないほど、バランスも関連もないところにおかれてしまっている。そもそも緊急時に即座につかうべきものが、運転者から一番遠い位置で、しかも見難い場所にあるのだから。
外装編でも書いたけれど、プロダクトデザインほど残酷なものはないとつくづく思う。これほどまでに才能の差がはっきり出るのだから。
話を元に戻す(笑)
リアシートの内装部分。ウッドとチャコールとベージュの色使いがいい塩梅だ。ここをみても解るけれど、ウッドのブラウン、上半分のチャコールグレー、下半分のタンの色合いが絶妙でかつ上品。また子供にべろみたいって、言われたシートベルトの引き出し口のデザインも有機的な曲面で美しい。
ソフトトップ内側のトリムの質感もすばらしい。普通はフリース的な皺がつきにくくて表面のあたりの柔らかいものが使われるのだけれど、セダンやアバントの内張りにつかれるのと同じファブリックがおごられている。
内張りのテンションが絶妙なのでソフトトップのライナーにありがちな平面的なシルエットにならず、なんとも柔らかいシルエットを作り出しており、このクルマが屋根を閉じた状態での質感も大事にしていることがよくわかる。
リアウインドウについても機能的にはもっと大きいほうが良かったに違いないのだけれど、おそらく意図的に狭くし、後席の後頭部への直射日光を極力減らすだけでなく、まどから差し込む間接光をうまくいかして雰囲気のある陰影を作り出している。この当たりも含めこの時代のAudiデザインは立体的な陰影をうまくいかした内装デザインを意識していたのがわかる。
拙宅にA4Cが来てから1ヶ月。距離にして1000kmほど走ってみて、4座カブリオレ(ドロップヘッドクーペ)の魅力は、クーペ的な包まれる安心感とトップを明けたときの開放感のメリハリにつきる。やはり4座のカブリオレ(ドロップヘッドクーペ)こそが大人のベストプライベートカーかもしれないと思う次第。
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コメント
>旧型車オーナーの典型
はい、仰せの通りで;;;
しかも新型車と処々見比べた上で、わざわざ旧型車を買った阿呆でございます(苦笑)
新型車は、もうそりゃーいい車でした。
足回り、エンジン、燃費のどれをとっても旧型よりはるかによかったので次は買うかもしれません;;;
投稿: ta_tsu | 2009年1月 1日 (木曜日) 18:54
まあ、新型をけなしたくなる旧型車オーナーの典型ですね。
投稿: 不機嫌 | 2008年12月31日 (水曜日) 21:58
MEGUさん>
貴重な写真ありがとうございます。日本に入ることのなかったB7のカブの写真はなかなか見る機会がないので助かります。
B7の内装はセダンやアバントもステアリング以外はほとんど変更されず、B6のままでした。ビックマイナーといいつつ内装をやりなおす予算がなかったって話です。内装は外装にくらべてパーツが多いからしかたないですね。
いずれにしろタラレバな話ですからね・・・(苦笑)
>赤い豊橋ナンバー
私が乗ったのと同じですね。で、たぶんうちのこのクルマがそうだったんじゃないかと思ってます。
投稿: ta_tsu | 2008年12月 6日 (土曜日) 18:02
ta_tsuさん、こんにちは。
みんカラのほうからお邪魔しました*^^*
おそーいコメント失礼します!
この秋、ハワイでB7カブを400キロちょい運転してきました。
この記事を読んで、もっとじっくり車を観察すればよかったなって後悔しています。
かろうじて撮った運転席の写真が↓なのですが、
http://minkara.carview.co.jp/image.aspx?src=http%3a%2f%2fcarview-img01.bmcdn.jp%2fcarlife%2fimages%2fUserDiary%2f10728283%2fP1.jpg
B6カブリオレと似てませんか?
ずっと以前に、A4B6カブを試乗したことあります。
#赤い豊橋ナンバーのです*^^*
そのときのうすい記憶と、今回借りたB7カブ。似ているなって思ったんです。
だから、このダッシュボードのデザインはカブリオレ用なのかなって勝手に思っていました。
投稿: megu | 2008年12月 6日 (土曜日) 01:32
クア太郎さん>
遅レスですいません。
パサートのインテリアってこんなになってるんですね~。はじめてみました。確かにメーター周りは似てますけど、センター部分に寄せちゃたのでごちゃごちゃしちゃった感は強いですね。このあたりがパサートが、いまひとつプレミアムに届かない所かなって気がします。
投稿: ta_tsu | 2008年12月 1日 (月曜日) 21:16
確かに、B6A4Cのステアリングや、メーター周りはA8風に上質ですね。
明らかに私が乗っていたB6A4とはレベルが違います。
私が気に入っていたB6A4の部分として、ステアリング部分があります。
シングルフレームになってから、アウディマークを逆台形で囲ってますが、
丸のほうが味があって好みです。
なので、TT2ndが丸なのが救いです(金属ではありませんが…^^;)
ちなみに、PASSATのメーター周りを見ると、A8風なのを以前から感じてました。
http://catalogue.carview.co.jp/VOLKSWAGEN/PASSAT/2006/gallery_4.asp
水温計と燃料系を中央ではなく、左右に移動させると、A8だな~と…
B7A4に継承できなかったデザインをVWへ譲ったのでは?と感じてますが、
いかがでしょうか?
投稿: クア太郎 | 2008年11月25日 (火曜日) 14:08