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2008年11月 4日 (火曜日)

【クルマ】アルピナロードスターV8に乗る。

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先日、アルピナロードスターV8オーナーのAquaHolic氏とミニミー。Aqua氏のご厚意により、本当に希少なアルピナロードスターV8のステアリングを握らせていただく機会を得た。

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※ 一部11/7加筆修正しました。

今までに、アルピナロードスターV8のインプレッション記事は国内の雑誌では皆無だった。たしかに自分もENGINEやCGでフォトレポートは読んだ記憶があるけれど、ライターによるインプレッションを見た記憶がない。オーナーのAqua氏によれば正規物はわずかな台数(5台)しか国内にはいってこなかったため、輸入元のニコルさえ広報車両が用意できなかったからだそうだ。

なのでオーナーのAqua氏は、ベーシックモデルであるZ8とアルピナの両方を比較したインプレッションをぜひ聞かせて欲しいというリクエストと一緒にアルピナのキーを、ともにランチを食べた高崎市内の蕎麦屋の駐車場で私に託してくれた。

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まずそのキーをみてびっくり。自分の赤外線リモコンの旧型キーとは違うZ4などと同じリモコンキー。しかもキーホルダーのためのリングホールがない(だからキーホルダーは付けられない)。裏にはシリアルが記載されわずか555台のうちの1台ということが明記されていた。ちなみに日本国内に入ってるV8ロードスターは、正規輸入に関して言えばわずか5台らしい。

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アルピナの作法に従って、オリジンのパーツがリファインされている。特徴的なのは、つやけしのアルピナブルーで処理されたダッシュボード。Z8はレトロチックなつやありウレタン塗装なため、陽射しが高い夏場はダッシュボードの反射がフロントウインドウに移りこんで見難いのだけれど、こうしてあればまったく問題ない。

また速度計はZ8がリミッターの250kmまでに対して、V8ロードスターは280kmまでに延長。ただし、メモリ表示領域は同じなので目盛りがつまって30km刻みになっていて、国内の制限速度の40、50、100あたりが慣れてない自分にはぱっと見では読み取れず(笑)。

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シートは、もう言うこと無しなほどにいい。Z8のぺなぺなのスポンジとは違い、厚みがあるのに固さもあるので決してふにゃふにゃせずに適度な沈み込みでホールドしてくれる。また表面がバックスキン仕立ての処理のため滑らないからポジションもきまりやすい。もう雲泥の差だ。

この椅子がうちのにもほしい(笑)

キーオンからクランキングの作法はZ8と同じ。スターターボタンを押し短いクランキングの後Z8より気持ち軽めに聞こえる音質でヴォンと始動する。アリドリング時のエクゾーストは、気持ちアルピナのほうが大人しく感じたが、走り始めの印象はATとMTの差以外には特に感じない。20インチホイールを履いていることに気をつけながら駐車場から車道に出た。

市街地を走り始めて、まず最初に感じるのが足回りのしなやかさ。20インチホイールを履いていることを忘れてしまうぐらいあたりが優しい。マンホールや道路補修のあとの継ぎ目を越えてもガツンという突き上げは皆無、トンという軽い音だけでいなしてしまう。当たりの硬いRFTをやめDUNLOPのSportsMaxxに履き替えた現状のZ8の乗り味と比べてもその差は歴然としていた。

クルマを走らせながら以前オフでお会いした他のZ8オーナーが、ノーマルのZ8の足回りにこのアルピナダイナミックホイールを入れたらバタバタして最悪だったと話されていたことを思い出す。やはり、このホイールの重さやタイヤサイズを前提にチューニングされたサスペンションがなければ駄目なのかもしれない。

乗った印象だけで想像すれば、重くてジャイロ効果がふえたホイールによって、スプリングレートはかえなくても相対的にやわらかくなるから、ショックの伸び側を少々硬めにしているのではないだろうか。もしくは非線形のスプリングの中を強くしてるかもしれない。

いずれにしろZ8と足回りはまったく違うキャラクタだ。

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休日で流れの悪い高崎市内を走りながら、同じV8ながらも明確なキャラクタの違いを実感。スペックではV8ロードスターは100ccほど排気量が小さく最高出力は11PS低い。しかしながら最高トルクはZ8の51kgm/3800rpmに対して、53kgm/3800rpmと勝っている。その予備知識があったので、Z8よりもトルクフルなんじゃないかと思っていたのだけれど、実際はATのファイナルが高めなのと1500rpm以下に落ちるとシフトダウンするATプログラムによって、V8らしいドロドロと低回転でまわすときのトルク感が実感できないのがちょっと残念だった。

高崎市内を抜け安中駅前から磯部温泉方面に抜けて流れが良くなったところで、ATをマニュアルモードに切り替え走ってみる。

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マニュアルモードにして感じたのはギアがワイドでギアレシオが高めということ。とくに5速がOD的な設定になっているため、市街地ではほとんど4速で走ることになってしまう。MTのZ8だと、5速1500回転でゴロゴロとV8らしい粘りのあるエンジンとサウンドを楽しみながら走るのだけど、V8ロードスターは写真の通り4速2000回転にアップしてしまう。やはり6速がほしい。

マニュアルモードのシフトダウン、アップはシフトレバーでもできるけれど、ステアリングに付いたシフトスイッチのほうがやりやすい。

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右側がシフトアップで左側がシフトダウン。革を切り取って作られたアイコンがかわいい。

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今回、乗ってみるまではこのステッチの丸く囲われた部分がボタンだと思っていたのだけれど、押しても何も変わらず???。実はここの親指をあててちょうど人差し指があたる裏側にマイクロスイッチがあり、それを押さなくてはならなかったのだ(笑)。

ATは03年らしいセッティングで、スリップは多めなもののレスポンスは悪くない。

磯部温泉から松井田・妙義ICに抜けてそこから上信越道へ。松井田妙義ICの導入路は割りと奥が深い左コーナーで、ここを抜けるときにそのクルマのロールに対する癖が見える場所。V8ロードスターをいつものZ8同様のラインで進入してみた。

20インチの大きなホイールゆえに頭の入りが遅れるはずと踏んでいたが、Z8とほとんど変わらない感触で曲がりこむ。違いはATとデフの違いから生じるリアのトラクションのかかり方。Z8はMTなので、クリップを捉えたあとスロットルを踏めば間髪おかずリアタイヤが地面をけりだして立ち上がるのだが、ATのV8ロードスターはキックダウンしたあと回転数がまず上がり、トルコンがスリップ気味につながって動力を緩やかに路面に伝えていく。このためZ8のようなガツンという飛び出しはない。でも、もたつく印象もうけずスムーズな加速で十分に速い。

ランプからの加速はATのスリップをうまく生かして、ちょっと高めの回転数をキープしながら滑らかに加速していく。追い越し車線に出てからのノンスナッチによる中間加速はZ8に比べファイナルが高めな分やや出足がマイルド。でもATをキックダウンさせたあとの加速はMTとは違う息の長い盛り上がり方で速度があがるのが楽しい。

高速を降りたあとは、いつもの和美峠へ向かい3速に落として走る。ここでもアルピナの足はしなやかにタイトコーナーを舐めていく。前述のATのトルクの出方と足回りの総合的なバランスが良くて、まったく自然にコーナーをクリアできる。ステアリングの切り始めからロールはゆっくり始まるが、決してバランスを崩すようなことはなく、しなやかに踏ん張るという印象だ。

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ためしにZ8なら、パワースライドを誘発しそうなタイトコーナーの立ち上がりでラフにアクセルを開けてみるが前後ともに1センチ太いタイヤとトルコンによってフォローされる滑らかなトルクカーブによって滑り出すことはなかった。ちなみにロードスターV8には、Z8についているSPORTSモードスイッチがない。本来あるべき場所はメクラ蓋で閉じてあるのだ。このあたりもアルピナにはスイッチで切り替わるようなスパルタンな動きはいらないというポリシーが感じられる。

和美峠のあとは女街道へ。ここは気持ちよいRが続くフラットワインディング。通いなれたこの道をいつもどおりの速度とラインで走ってみる。スロットルで向きを変えていく中高速のS字で、初めてロードスターV8のネガティブなキャラクタがすこし見え隠れした。スロットルで加重をコントロールしてクルマの向きをヒョイヒョイって変えるときの二つ目でアンダーが顔をだしやすい。

20インチホイールのジャイロ効果で直進性が強いこともあるけれど、どちらかといえばATの4速がやや高めで、スロットルオンでのリアのトラクションの押し出しがややルーズなのが影響してると感じた。3速に落とすと回転が高くなってレスポンスがよくなる分、スロットルワークがシビアになって乗りにくいから4速を使いたい。相対的に速度を落とせばこのネガティブな部分は見えなくなるので大した問題ではないのも確かだ。

※ちなみにZ8はそこを通常5速で走っている。

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高崎から拙宅までおおよそ1時間のテストドライブを終えての実感として、アルピナロードスターV8は、Z8よりよりアメリカンスピリッツが濃い印象を受けた。大排気量V8とATの組み合わせはまさにコルベットやカマロのようなアメリカンGTカーの味付けだけど、それをアルピナならではの繊細で動きのいい足まわりと上質なインテリアできれいにまとめて、大人向けのヨーロピアンGTカーに仕上げたという感じだ。

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オーナーのAqua氏が帰られたあと、ロードスターV8の印象が薄まらないうちにと自らのZ8に乗り込んで走ってみて、これまた新鮮な感動があった。Z8からV8ロードスターに乗り換えたときには、ソフィスティケイテッドされた乗り味にやられてしまったのだけれど、今度は逆にZ8のプリミティブでマッシブな豪放磊落な走りっぷりに圧倒される。

とくにギア固定で2000回転前からノンスナッチで加速していくときのトルクの盛り上がり方や4000回転でVANOSが効いて高回転型エンジンに豹変してからの雄たけびは、ロードスターV8の上品でシルキーなエンジンでは味わえない魅力だし、その溢れるトルクを高いバネレートの固い足でタイヤを強引に路面に押し付けていくような接地感も頼もしい。

ロードスターV8が、コーナーをよく切れる刺身包丁で綺麗に削いでいくような滑らかな切れ味だとすれば、Z8は牛刀で骨ごと断ち切っていくような猛々しさだろう。このあたりは単にスペック的な馬力の差だけでなく、ミッションやデフの違いも含めた両者のクルマ作りのコンセプトの違いをはっきり見せてくれていると思った。

今の自分にとっては、アルピナの繊細で上質な乗り味よりも大味ながらも牛刀で、肉を断つようなZ8のマッシブさが分相応(笑)。これは、かみさんもまったく同じ意見だった;;;

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でも、欲深い自分が手に入れたいと思うのが、あのロードスターV8の足回りとシート(笑)。あれにZ8のエンジンとミッション&デフが組み合わせられれば、今の自分にとってのベストカーになるのは間違いない。とは言えシートの入手はまず無理だろうから、足回りだけでもなんとか手に入れられないかアルピナマイスターなH氏にアドバイスを仰いで探索した結果、70人ほど諭吉さんを呼べばこの足回りが組めることがわかった。

果てさてどうしたものか・・・今の純正サスが抜けてくるころならば、世界の経済情勢もポジティブな変化がうまれてるにちがいないので、そのころになってから考えることにしよう(笑)

最後に、このような稀有な機会を心地よく提供していただけたオーナーのAqua氏に多謝。

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コメント

>HA_GIさん
やっぱりそうですよね。この前Z8にでかいエクボをリアフェンダーに付け逃げされて、泣く泣くデントリペアにだしたときにも、スタッフから「このクルマ手作りですねー。リアフェンダーの裏側に補強用のアルミメンバーが溶接してあったりしますけど、こういうのマシンじゃできないんですよね」って言われてました。

やはり専用シャシーならではで乗用車ベースとの違いは結構あるみたいです。

とりあえず足回りは、来年の春までゆっくり考えます。


クア太郎さん>
Z8のメーターはレトロテイストバリバリで、とくに夜照明がつくとレトロな光方でぼんやり光のがなんとも味があります。

http://minkara.carview.co.jp/image.aspx?src=http://carview-img02.bmcdn.jp/carlife/images/UserCarPhoto/327034/p5.jpg

投稿: ta_tsu | 2008年11月11日 (火曜日) 16:07

メーターの雰囲気が初代TTに似てますね。
機械式のレジを思わせるようなATのインジケーターが、
クラシカルでイイですね~^^
ダッシュボードの雰囲気はジャガー風の上質さを感じます。
Z8に触れたことが無いので、的外れなコメントを失礼!(苦笑)

投稿: クア太郎 | 2008年11月11日 (火曜日) 15:45

モデルによってはスタビやアーム類、ブッシュなんか変わってますね。
でもロードスターより素のZ8の方がよりストイックな感じですから、補強という意味では充分な気がします。

投稿: HA_GI | 2008年11月11日 (火曜日) 11:36

HA_GIさん>
コメントありがとうございます。文字小さいですかね?
ブラウザ側でも文字サイズ変えられるので、見づらかったら申し訳ないですけど、それで見てやってください。

アルピナの足は予想していたよりもはるかに安いので、少々おどろいてます。でも、あそこのサイトをみると、他のモデルはさらに安いですよねー。

でもアルピナの足だけかえても駄目で、アルピナモデルはオリジナルBMWモデルにシャシ補強が入っているという話もあるんですけど、そのあたりなにかご存知だったりしますか?

投稿: ta_tsu | 2008年11月 9日 (日曜日) 18:11

こんにちは。
ta_tsuさんのサイトは視野の狭い僕にはシビレます。読んでくれる息子は今いないし。(笑)
B10ビターボの足回りは、当時3桁諭吉でしたから、そこから比べるとバーゲンプライスかもですよ。
それともユーロ安のお陰か、NIC○LEを介さないとそうなるのか?
何れにしても、人ごとだと思うと楽しい悩みですよ。(笑)

投稿: ha_gi | 2008年11月 9日 (日曜日) 17:48

moutonさん>
たしかに、オーナーのAqua氏が言われたとおり、どこにもなかったですね。海外のZ8オーナーサイトにはチラッとでてましたが、簡単なものでした。ここ数日のアクセスはなかなか多いです。

なので、勢いだけで書きっぱなしの恥ずかしい部分を校正しました(笑)

アルピナオーナーとはまた都内でミニミーをするつもりでいますので、そのときには声かけますよ。ぜひご一緒しましょう。

投稿: ta_tsu | 2008年11月 7日 (金曜日) 13:33

ひろい世の中ですが、Z8の比較試乗記を読めるサイトはここだけです(笑)。

溜息が出ちゃいました。

投稿: mouton | 2008年11月 7日 (金曜日) 12:55

きんどうさん>
コメントありがとうございます。レス遅くてすいません。いや、Z8もアルピナも両者ともに美人だとはおもうのですが、キャラクタの違いですねー。まだまだアルピナロードスターV8のジェントルな速さを味わえる度量が、自分には備わってないかなと(苦笑)

55ぐらいになったら落ち着いてあの味を楽しめる大人になれればーと思ったり。

投稿: ta_tsu | 2008年11月 6日 (木曜日) 08:53

美人は3日でって感じでしょうか?
車を包む空気感がいいです。作り込みに意志がある車だからでしょうかね。

投稿: きんどう | 2008年11月 5日 (水曜日) 08:56

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