【クルマ】CR-Z再び。MTモデルに乗ってみた。

前回のCVTモデルの試乗に続き、今回はMTモデルに試乗。事前に電話で試乗車の有無を確認して予約、ちょいと離れたディーラーだったけれど、高速のって30分ほどで時間通りに到着。ここの試乗車もやっぱり黒。普通なら中古での売却をふまえて売りの強い白色系のはずだけれど、ホンダのスポーツモデルは黒の方が売りやすいのかもしれない。

あらかじめお断りしておくけれど、自分は「MT=スポーツカー」ってショートカットな意識はない。ルノーキャトルとかティンクエとか、MTで乗ると凄く楽しいクルマたけど、あれはあきらかにスポーツカーじゃないよね(笑)

そう言う意味で、MTで乗って楽しいクルマかどうかってことを考えながら試乗に臨んだ。

まずは哀川翔に似たイナせな店長から名刺を頂く「いやー、他店の店長はみんなCVTおろしてましたけど自分は、このクルマは絶対MTでないと魅力が伝わらないと思って思い切ってMTを試乗車にしたんですけどね、反響凄くて長野だけでなく山梨からも試乗に見えるお客さんいらっしゃいました」

そりゃそうだろう、なにしろMTの設定そのものが無いクルマやメーカーばかりなこの時代に、発売2週間で8000台の受注台数のうちの4割がMT（出典元）ってのは、もう通常のクルマではあり得ない。ちなみにスポーツカーの代名詞たるポルシェ997はMTの設定があってもMTを選ぶ客は5％にもみたないのだから(笑)

店長と一緒にクルマに乗り込む。今回の試乗車はMTのαモデルのスカイルーフやレザーインテリアがついていない最上級モデルの一つ下のモデル（278.4万円）。ちなみにMTだとCVTモデルに比べて10万安いのが魅力。前回と同様のパッケージングにしても乗り出し290万以下になる。

ドアトリム周りを見て解る通り、内装はシンプルだけど安っぽさはない。惜しいのはドアロックのプラスティク丸出しのネズミ色部分かな。これ黒のシボ付きパーツだったら結構いい感じになってたはず。

シートに座ってポジションを決める。前回はすでにエンジンがかかった状態だったから解らなかったけれど、スマートキー付きのこのクルマの始動は、クラッチを切り、ステアリング右手のスターターノブを押し込みながら回す。凄く軽いクランキング一発で始動するのは、アイドリングストップ機能がついてることを考えればとうぜんだろう。

クラッチペダルは、ポジションも違和感無く、重くなく浅くなくと、ごくごく普通で感触は良好。メーターの視認性は前回も思ったけれど非常に良い。ただ、3D的に浮いて見える速度表示は慣れない人は気になるかもしれない。

助手席の店長のお勧めもあり、今回は最初からSportsモードにセットしてスタート。この操作パネル、見やすいし解りやすい。

店から走り出す時に、明らかにMTの方が電動モーターのアシストを意識させるトルクを感じられるし、そこに違和感を感じる人も居るかもしれない。CVTだとこの辺り、マスキングされちゃうから実感しなかった。SCとも違うターボとも違う新しい感じ。強いて言うならTDIエンジンかな。

2速、3速で引っ張ってみたけれど回転の伸びについては、ホンダVTEC的、抜けの良いふけ上がりが見られなかったのが残念。先入観かもしれないけれどモーターがエンジン回転の負荷になっているような重さを感じた。でも回らないわけじゃなく7000手前のレッドゾーンまで回るし、大きな音量ではないながらも乾いたエクゾーストサウンドは好感がもてる。

シフトフィーリングは非常に良い。短めだけど重くないし引っかかりや、ゲートの緩さも皆無。小気味よくシフトできる。前述したとおりトルクが厚いので、ずぼらな2速スタート→4速→6速で50km走行、ってのも楽勝。試乗コースには、ちょっときつめの上り坂があったけれど、5速からのノンスナッチでもモーターアシストのおかげでノッキングとか感じられずにスルスルと加速した。

そうそう、アイドリングストップ機能ってMTだと凄く面白い(笑)。

自分はMTに乗る時クラッチ保護の為にちょっとした停止でもニュートラルに入れるので、本当に良く止まってた。ニュートラルにしてクラッチ離した瞬間にストン、って止まるもんだから経験的に一瞬ドキッとする！だって、普通のクルマだとそれってギアが抜けてなかったってことだから(笑)

それも走り出して2〜3回、赤信号で停止したあたりで、その感覚に慣れた。その後、走行中にニュートラルに入れてみたりしたけど、そこはちゃんとしていてエンジンはストップしない。あくまで停止状態でニュートラルにすると停止というルール。

そして、発進するときが凄く素早いのに舌を巻いた(笑)

意地悪にローギアに入れた直後にラフにクラッチはなしてみても不思議とエンストしない。これはモーターのアシストが効いてるからだろう。市街地の走行でけっこうゴーストップが会ったのだけれど、発進のときに間に合わなくなることは一度もなかったし、乗りづらさは一度も感じなかった。

概ね20分ほどの試乗だったけれど、MTでの感触はCVTに比べるとはるかに好印象。とはいえ、エンジンについては、やっぱりもうちょっと頑張って欲しい感は強い。今の感触に似たクルマをあげるなら、ヴィッツのRSか。コンペティタたるスイフトスポーツに手の届かないイマイチ感が近い(笑)。

思うにモーターアシストで低速トルクをフォローするのだったら、いっそエンジンは高回転型にふってしまって良いんではないだろうか？　それこそ無限あたりで、このクルマ用のハイカムとROMを提供したら面白いかもしれない。

帰りがけ、別のディーラーの店頭で初めて黒以外のCR-Zを発見。クルマを寄せて写真をとったけれど、この色だと全く印象が変わる。ウインドウとピラーのラインが明確になるし、リアフェンダーのマッシブなラインが強調される。でも買うならブルーだろうね。

試乗を終えて一号機に乗り込んで走り出した時に、その分厚いトルクと4WDならではのがっつりしたトラクションを実感して、やっぱりいくらライトウエイトスポーツといえど、パワーがもう一声ほしいなと素直におもった。プラス20〜30PS、さしづめCR-XデルソルSiRか。いや馬力を増やさなくても、FIAT500の1.2POPのエンジンみたいな回す気持ちよさが出るだけでも良いかもしれない。

あとやっぱり屋根無しが欲しい・・・これまたデルソルみたいな手動取り外しのTバールーフでもいい。TopGearでワンボックスの屋根切っただけで、運転が凄くたのしくなったって言ってたけど、それは間違いない。風を受けて走るだけでスポーツ度は増すからね。

というわけで、CR-Zについては「要経過観察」(笑)という気分で、今後も見守っていきたいと思う。