【インプレッション】A1をじっくり見て試乗する。
先月、渋谷のデビューイベントで同乗試乗したA1。その後、ディーラーにも車両が行き渡り展示車両以外の試乗車の準備ができたとの連絡をうけて、さっそくいつものディーラー。
試乗を待つ間に展示車両で後席とか助手席に座ってみる。
助手席の位置を窮屈じゃないところで止めたうえで、後席へ座ってみた。足元は十分にクリアランスがあり、これはデビューイベント時に確認したままだったけれど、問題は天井とのクリアランス。あの時は前かがみだったり浅く腰掛けてたから気づかなかった。
身長170センチの私が後席に深く座ると、みてのとおり頭を中央に傾げないと左側があたってしまう。しかしこのCピラーの厚みはなんでここまで必要なのかはちょっと疑問。内装のこの部分をもう少しえぐっていれば頭の窮屈さはだいぶ解消されると思うのだけれど。
後席に浅く腰掛ければ、ある程度この問題は回避されるが、実際の所、後席の座面は短く、浅く腰掛けるのはちょっとつらい。残念ながら、このあたりはコンペティタたるミニやさらに一回り下の5ナンバークラスのFIAT500にも劣る感は強い。
内装は素材などは価格相応でプラスティックメインでゴージャス感は無いけれど、デザインの良さと素材の組み合わせで質感の良さをうまくアピールしていると感じた。でも、このドアトリムの内側のグレーのプレスティック部分は、FIAT500の同様の処理に比べると詰めがあまい印象はいなめない。
ちなみに、A1イメージカラーともいえる赤銀の固体とは別に展示されていたこのブラウンメタリックの車両の印象はかなり違った。プレミアムコンパクトを標榜するのなら、このぐらいのシックな感じがいいかも。
試乗車は、赤にルーフピラーがシルバーのスポーツパッケージ仕様車。他の人が走って戻ってくる時のエクゾーストはかなり大きめで、スポーツマフラー!って感じの音で戻って来た。TTSやS3、S4あたりから感じることだけれど、最近のAudiのエクゾーストの演出はちょっとやり過ぎな感じが否めない。
走り始めての第一印象は、足が硬くない!ってこと。この前の同乗試乗の時に助手席で感じたゴツゴツ感が運転席だと全くない。むしろストロークが十分に確保されて伸び足のあるしなやかな足という印象さえうけた。
1.4TFSI+DSGのエンジンは、ターボエンジンということを全く意識させないほどリニアなトルクとピックアップで、小気味よく切り替わって行くDSGとあいまって街乗りでは、かったるさを感じないだけでなく、忙しなさも無い。この辺りは同じような小排気量のターボエンジンを乗せたミニよりも、FIAT500のNAのニュアンスにかなり近いと感じた。
エンジンだけでなくブレーキも、最近のAudiらしく初期制動は強めだけれども、踏み込んで行くと十分な制動力があり必要にして十分。同乗試乗で気になったアイドリングストップ機能も自分が運転しているときの方が、不思議と違和感なく自然な感じだった。
道路に注意喚起のための波状が切られたところを走ったけれど、前述のとおりストロークのある足回りをささえる、ボディの剛性も十分に高くて、バタバタもカタカタもキシキシもない。開口部のかなり大きな3ドアにしては優秀で、その秘密は、ディーラーに戻ってからドアの辺りにあった。
それはロードスターなどのオープンモデルによく使われる手法でドアの剛性を高められている。ドア側の凸部がボディ側の凹部にくわえこまれてドアの上下、前後の動きをなくしてボディーとの密着を高めるもの。
30分程度の試乗だったけれど、渋谷のデビューイベントでの同乗試乗とは真逆の印象を受けたのが本当に驚いた。
前述通りエンジンとシャシについては、本当に良い事尽くめなんだけれども、残念な部分が無かったわけではない。自分が気に入らなかったのはステアリング。電動パワステはA3SBで散々乗ったから別にそのフィーリングにケチをつけるつもりはないし、このクラスのクルマとターゲットユーザーを考えたらロードインフォメーションうんぬん、なんておこがましいことは言うつもりはない。
その上で残念だったのが、コーナリング中、直進中両方ともに感じる状態の曖昧さ。ステアリングを切って相応に荷重がかかっている時には、その荷重にたいする反作用的にステアリングに戻りがあって、それを支える事で姿勢を維持してるってドライバーは感じている。直進も同じ。しかしA1のステアリングはそれが希薄。つまり荷重がかかってる実感がない。なので非常に曖昧に感じてしまった。
あとは助手席との距離感も含め、ボディサイズのまとまり感はちょうど良いだけに、後席のサイド部分のトリム形状の問題で、サイドのヘッドクリアランスが無いのが本当に惜しいと思う。
※ディーラーで見せてもらった本国仕様の商談用カタログボックス。本当に細かなところまでオーダーがエクスクルーシブオーダーができるようになっていた。実際にはiPadのアプリとして同等の機能を持たせて国内では準備するらしい。今後予定されていて、すでに欧州では発表になっているS-lineパッケージ(エンジン出力が185PS!)も年内には出るみたいだし、なかば公然の秘密になっている1年後のスポーツバック(5ドア)や、S1、RS1、Q1の登場は楽しみ。そして、さらにもう一歩踏み込んで、このシャシーベースでTTみたいなスポーツクーペかロードスターを出してくれることを期待したい。
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コメント
クラウンギアさん>
追伸です!
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060418/116215/
ここで電動油圧パワステの仕組みをみると、通常の電動パワステよりフィーリング的にもよくなりそうなんだけど、まだまだ途上っぽいですね。制御系のROMの書き換えでもっとダイレクトなフィーリングにもなりそうだし、いいなー。
ステアリングラックやタイロッド周りの油圧パワステの設備はそのままでポンプのみ電動化できるから旧車種のパワステのリプレイスも可能だし。リプレイスするとパワステポンプで食われてるエンジン出力がアップされるわけでかなり良いですね。うちの旧車種にもつかないかな。
投稿: ta_tsu | 2011年2月 8日 (火曜日) 12:33
COLORCUBEさん>
とりあえずコストパフォーマンスは良いとおもいますんで。
クラウンギアさん>
情報ありがとうございます。カタログみたら違ってますね。調べて見るとおもしろい仕組みですねー。勉強になりました。しかし、ポロもあんなにあいまいだったかなぁ。ほとんど記憶が残ってない・・・
投稿: ta_tsu | 2011年2月 8日 (火曜日) 12:21
パワステはA3とは別物でポロから拝借した電動油圧パワステになりますよ。
余計なお世話ですね、失礼しました~
投稿: クラウンギヤ | 2011年2月 8日 (火曜日) 12:02
なんですか、こちらで色々情報をもらっている間に浮気心も最大限に膨らむと同時に8Nをもっと楽しみたいという欲望も湧いてきました。
とりわけ3000rpmあたりの回転感覚とスムーズさを得れたらいいなと思ってます>ESP洗浄。
このところALPとものすごく悩みましたが価格差がありすぎるので関係なくメンテナンス走れた気もします(笑)。
MとALの差はもう少し調べても遅くはないのではと思ってます。今は軽油系に惹かれてますw
投稿: colorcube | 2011年2月 7日 (月曜日) 23:17
COLORCUBEさん>
ショックリプレイスされるんですね。良かった。ESP洗浄はちょっと驚くと思います。本当に吹けも燃費もよくなります。うちは次は15万キロでやりたいと思ってます。
投稿: ta_tsu | 2011年2月 7日 (月曜日) 22:56
A1には関係ありませんが8Nのダンパーがいよいよダメなので『ta_tsuさんにそそのかされた』といってP横さんにドッグインの予約取りました(笑)。喜んでいらっしゃいましたが。。。
ついでにEPS洗浄をぜひということでそれもやってみようということに。
ありがとうごさいます〜〜〜m(_ _)m
投稿: colorcube | 2011年2月 7日 (月曜日) 19:35
moutonさん>
エクステリアのデザインを考えるとリアのヘッドクリアランスはもっと十分取れるはずなんです。そう言う意味での残念感ですね。RCZのような無茶なデザインでもバブルルーフがあるから許せちゃうようなコンシャスさまでいたらない。これは現行のTTも同じですね。あれだけでかくてエクスパンドされ、デザインが尖ったわけじゃないのにリアの居住性は8N同等って(笑)。デザインを評価すればするほど、いまのデザイナーの力不足(詰めの甘さ)がそこには見え隠れするのです。
デザインが機能の一部であるからこそ、デザインから類推される機能と実機能がシナジーしてることが素晴らしいデザイン。これはクルマに限らず道具、住居、WEBのインターフェイスすべてに通じると私は思ってます。だから、デザイン的に後席が明らかに無理だなーって思えていて後席がつかえないならあたりまえで、その逆にそう見えたのに以外にも広い!は◎、リアのヘッドクリアランスを取ってるように見えるのに使えないってのは×ってことです(笑)
それでも、欲しい人はたくさん居て、すでにバックオーダーをたくさん抱えていて、年内の玉はほぼ売り切れるというA1ですからね。良いんじゃないかと思います。POLOよりずっと売れるわけで(笑)
>ボクにとって需要なのは、デザインパッケージ上、あまり人が乗りたがらないモデルだったりします(笑)。
ということであれば、A1も8JTTも、スマートも乗っちゃ駄目っしょ(笑)
8JTTはここ5年でもっとも売れた2ドアクーペですでに1万台以上が市場にでてますし、A1は前述のとおりディーラーは玉不足でなげいてますし、スマートも国内で唯一売れてるマイクロカーです(2008年時点ですでに出荷台数は1100台)
ちなみにAudiの中で一番売れてないクルマってA5カブリオレ(2.0T)だそうです。デザインはいいし性能も良いと思いますが、みなさん乗りたがってないですから、是非!
投稿: ta_tsu | 2011年2月 5日 (土曜日) 11:45
二人乗り乗車が基本のエゴイストですから、あまり後席については気になりませんでした。リアに人を乗せたければPOLOがあるし、デザイン重視のメーカーを思えばむしろ好感が持てます。次に出てくるQ3もリアウィンドウを傾斜させたクーペスタイルを標榜していますよね、あれだってVWのティグアンがあるから出来る芸当で、VWとの上手な住み分けを図っているなー、というのが正直なところです。
ボクにとって需要なのは、デザインパッケージ上、あまり人が乗りたがらないモデルだったりします(笑)。
投稿: mouton | 2011年2月 5日 (土曜日) 10:37
COLORCUBEさん>
後席の頭上部分のトリムが無駄に張り出してる感じがするんですよね。リアハッチゲートのヒンジのスペースなのかもしれませんけどね。開口部を大きくしたことが裏目に出てしまってると思います。これは僕の勝手な憶測なんですけど、3年後ぐらいのマイナーで、あのゲート構造とテールライトは見直される気がしてなりません。あそこを普通のゲートとテールライトにしたら、結構コストダウンできるんじゃないかとおもいます。
ステアリングフィールについては、現行A4あたりから顕著だったとおもいますがA1はホイールベースが短くなって軽くなったから余計に目立ちますねぇ。エントリーユーザー向けのクルマだから、クイック&ダイレクトなステアリングフィールはリスクがあるという判断なんでしょう。これから出てくるS-lineでどの程度その辺りが違う味付けになるのかが興味深いです。
A1ベースのTTってのは、想定範囲だとおもってますが、アウディを買うとおもう最近のユーザーがそれを良しとするかは、僕には解りません。今のTTは997と同じサイズですけど、あれは市場がそれを求めてた(と判断された)からああなったと思うので。
投稿: ta_tsu | 2011年2月 5日 (土曜日) 01:35
クア太郎さん>
R35GT-Rって後席せまいですよねぇ。外側から見た印象だとそう思えないのに。自分の知人に、それががっかりしたって言ってる人がいましたねぇ。4人のれてスーパースポーツなのがGTRなのにと。8Nはそんなに故障が頻発してましたっけ?時期的に続くのは、距離で壊れるものがでる時期だからしかたないかとおもいます。一通り交換修理したらまた安定しますよ。下仁田・臼田線はZ8でも走った事ありますけど、センターライン無いなりにも、道幅にある程度の余裕があるおで8Jでも大丈夫かと。
A1はAudi初の4mを切ってる全長をもつクルマなんですよね。どうせ後席使えないなら、もっと割り切ってスポーツクーペにしてほしいなって思ったりします。今のTTはA3クーペって名前にして、TTはA1ベースで作るような大英断を今のCEOがしてくれると良いのだけれど。
投稿: ta_tsu | 2011年2月 5日 (土曜日) 01:28
そこそこの寸法とまともな2ボックスを持つパッケージなのに後部座席に大人が乗れないのは個人的には決定的な問題だと思ったので結構しつこく(笑)話題にしていたんです。わかってもらえて涙がデマス(泣笑)。
でもそのおかげでリアハッチの角度がこのクラスには無い美しいラインと傾斜角をたたえているのも事実ですが。
結果、今ではGT化した(?)TTにかわって現代のコンパクトスポーツを標榜してくれたら良いなとよそでもコメントした記憶がありますから非常に共感出来ます>このシャシーベースでTTみたいなスポーツ・・・。
はっきり言って曖昧ですよね?ステアリングフィールが。。。悪い意味で○ヨタのコンパクトカーとかに似てます。高速のランプであろうことかステアヨーイングしながら曲がりました(爆)。
だからこれは健全な婦女子用の愛玩車なんだと私は判断しました(笑)。
AUDIとしては小型FF車のトリッキーな動きを押さえたかったのだろうということは理解出来ますが同時に楽しさも奪ってしまったように思います。
今後に期待です。
投稿: colorcube | 2011年2月 4日 (金曜日) 18:29
後席の座面が短いのは辛いですね…
以前、R35GT-Rの後席に乗った状態で長距離の渋滞にはまった事がありましたが、体の上部が固定できなかったので、体力を奪われた思い出があります。
私は175cmなので、後席はそれ以前にアウトですね(苦笑)
『このシャシーベースでTTみたいな…』を読んで、そうなって欲しいなと思いました。
全幅が、TT(8N)_1765mm⇒TT(8J)_1840mmと、巨体になってしまい、8Jで峠に行く気がしません。栃木の峠は狭いので専ら8Nで行くことになってしまいます。
群馬県道・長野県道93号下仁田臼田線に興味あるのですが、時々トラブルを発生している8Nで出かけるのには躊躇しますし、全幅の大きい8Jでは行けないし…
A1_1740mmくらいの全幅で、コンパクトなNewTTだと、狭い峠でも楽しめる気がしますね。
投稿: クア太郎 | 2011年2月 4日 (金曜日) 13:45